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CIVICTECH部門を制したのは、APIをうまくMashupすることで世の中の5%の人の課題を解決するシンプルで効果的なサービス

Mashup AwardsではMA9より、その多様性を広げるために様々な部門賞を準備してきました。みごと最優秀賞(部門賞)を受賞したチームには、副賞として賞金10万円と、さらにMA2016の決勝であるMashup Battle Final Stageに進出できるシード権が授与されます。

今回はその部門賞の一つを決めるプレゼンテーション・バトル。「自分達の住んでいる社会を少しでも良くするサービス」が競い合うCIVICTECH部門の決勝です。「お馬鹿な作品」を好むMashupAwardsの中で、ちょっと異色な(真面目な)部門賞です。

オンライン審査で選ばれた合計10作品が発表。
地域の課題を解決するもの、生活弱者の方の困ったをテクノロジーで解決する作品、オープンデータを利用した作品など様々な作品が発表されましたので、全ての作品をご紹介したいと思います。

※MashupAwards2016のCIVICTECH
部門賞はシビックテックメディアのCivicWaveにパートナーとして参加頂いております。

 

審査員紹介

今回、CIVICTECH部門賞の作品を選出する審査員として、以下3名の方々にお越し頂きました。

  • 河口 信夫氏 / 名古屋大学 未来社会創造機構 教授 、NPO 法人 Lisra 代表理事
  • 松島 隆一氏 / 千葉市役所 広報広聴課長、オープン!ちば
  • 坂東 勇気氏 / Code for Tokushima エンジニア兼代表、㈱GTラボ 代表、㈱電脳交通 CTO

※ 写真左から坂東氏、松島氏、河口氏

なお、CIVICTECH部門の審査基準は以下の3点です。

  • アイデア(独自性、新規性、優れた着眼点、発展可能性)
  • 完成度(実用性、ユーザビリティ、デザイン)
  • CIVICTECH度(市民の課題を解決する。誰でも使える。社会をよくする)

 

それではTOP3に輝いた作品からご紹介します。
トップ3に輝いた作品には、毎年3月に行われているCIVICTECHFORUM2017でのプレゼンテーションの権利を獲得できます。

 

■作品紹介

まずは部門賞に輝いた作品を紹介いたします。

<CIVICTECH部門賞>
■作品名:ディスレクシアの人のための字幕読み上げ機能付きYouTubeプレイヤー/チーム名:ゆきまる

ディスレクシアの人も使うことができる、動画の字幕部分の読み上げシステム
http://hacklog.jp/works/49813

「ディスレクシア」とは、難読症、識字症などの、文字の読み書きに困難がある障害のことで、症状の例としては、文字が逆さ文字に見える、文字がぼやける、など。学習障害の4.5%が該当すると言われています。
その方たちはYoutube動画の字幕を読むことが難しいため、字幕を人口音声で読み上げてみるシステムを作りました。 Youtubeのブックマークレットとして提供し、スピード調節や音声の高低の調節が可能です。
システムとしてはYouTube Player APIで取得して、WebSpeech APIを使用。あらゆる言語に対応でき、Chrome環境があれば、誰でも気軽に使うことが可能です。

動作デモはこちら

世の中の5%の人の課題を解決するシンプルで効果的なサービスが評価され、CIVICTECH部門最優秀賞を受賞!おめでとうございます!

教科書などのディスレクシアの方のための読み上げサービスは他にもあります。ただ、Youtubeに対応したサービスは他にはなく、シンプルな技術で身近の人の課題を解決している素晴らしい作品でした。
技術ではなく、アイデアというか、気付きが今回の作品の素晴らしさの多くを締めており、その点はとてもMashupAwardsらしかったようにも思います。

CIVICTECH部門賞を受賞した「ゆきまる」には副賞賞金10万円と、そしてMA2016の決勝であるMashup Battle Final Stageへの切符が授与されました!

 


続いて、次点となった作品をご紹介します。

■作品名:地方議会の議事録横断検索 議事ロックス/チーム名:おだ
全国の都道府県、市町村の議会議事録を横断検索する仕組み
http://hacklog.jp/works/48387

全国には1700自治体があり、議事録公開している自治体は約1000自治体程度です。その中で議事ロックスは800自治体の議会議事録の横断検索できます。大変だったのは情報抽出のプロセス。そこは根性・人力でカバー。
目指したものは、ボタンも押さない、システムの名前すら知らない。でもそれがあるおかげで世の中が良くなるシステムです。

動作デモはこちら

 


■作品名:のとノットアローン/チーム名:Code for Kanazawa プロジェクトNNA
奥能登4市町の子育てイベント、おでかけスポットの情報発信と開発で子育てを応援
http://hacklog.jp/works/49873

過疎地でもある奥能登4市町の子育て世代に向けた情報発信&場のサイト。”独りではないよ”というメッセージを子育て世代に届けたいという想いが込められています。
基本機能は「イベント」「マップ」「相談」の3つ。イベントを集計して詳細が見ることができ、一覧でも閲覧可能です。マップは7ジャンルで分類して表示。
開発者向けには施設ごとのイベントのCSVデータを公開しています。

動作デモはこちら

開発は、発表してくださっている方が一人でしているとのこと。プロダクトアウトではなく、ニーズから上がってきたものを必死に作ったという印象で、市民が欲しいものをテクノロジーで解決するという意味では、一番CIVICTECHらしい作品だったように思います。実際に登録されているイベント数が多いことも、求められているプロダクトの証拠だと思います。

今回、TOP3に輝いた作品には、毎年3月に行われているCIVICTECHFORUM2017でのプレゼンテーションの権利を獲得できます。

 


続いて、今回プレゼンテーションをした他7作品を発表順にご紹介したいとおもいます。

 

■作品名:カラスマヨネーズ〜マヨネーズ型カラス対話IoTデバイス〜 /チーム名:カラスを騙し対話するプロジェクト
カラスの大好物、マヨネーズ型スピーカーから発する鳴き声でカラスを騙し対話する
http://hacklog.jp/works/48873

ごみを漁るカラスをカメラで自動で認識後、ちょっと離れた所にあるマヨネーズスピーカーが「こっちに大好物のマヨネーズがあるよー」とカラス語でおびき寄せます。
カラスの行動をコントロールして、カラスがゴミを荒らす問題に挑みます。

サービスイメージ動画

「カラス語はだいたいつかめています」という自信に満ちた答えに、会場がどよめきましたw。既に500ぐらいのサンプルから、40種のカラス語の分類ができているそうです。

 


■作品名:your shelf/チーム名:sk-2
自転車を停めると起こる様々なインタラクションで、楽しくマナーを変える駐輪場
http://hacklog.jp/works/50153

自転車を停めると、駐輪場についたスクリーンに、漫画のようなエフェクトがあらわれます。
そして、自転車をちゃんと奥まで停めていくと、漫画の内容が進みます。自転車を奥まで停めると、スクリーンの反対の面に漫画の表紙が表れます。
その表紙間を「キャラクター」が行き交うので、ユーザは表紙が途切れている部分が気になります。すると、そこになんとなく停めたくなります。

デモ動画の説明

実用性という点で審査員の方に色々とツッコミをうけていましたが、コンセプトはとても評価された作品です。実用性を考えないアイデアには、頭の硬い大人たちにはとても刺激になり、新しい発見があるはずです。とてもMashupAwardsらしいCIVICTECH作品だったように思います。

 


■作品名:PRISM/チーム名:CS27 feat. fuckin-specs
一人ひとりに合わせた見え方をするリアルタイムな防犯情報マップ
http://hacklog.jp/works/48053
これまでの防犯情報はメールやWEBページでの提供のみ。それでは自分に必要な情報を探すのは困難です。そこで、生活圏を設定させ、事件の深刻度によって地図上に色分けして表示させるヒートマップを作りました。
データはひょうご防犯ネット、神戸施設オープンデータを利用。生活圏の半径4km以内でかつ、発生から2週間以内の事件を対象とし、深刻度のアルゴリズムは、新しい事件、命に関わりそうな事件ほど深刻としています。

デモはこちら。

 


■作品名:SPR COIN by spiritual DB/チーム名:spiritual DB
ブロックチェーンを利用した地域内仮想通貨
http://hacklog.jp/works/48102

地域でお金(価値)がまわっていない、地域でコントロールできないという問題に対するソリューション。管理・運営が難しい地域通貨を仮想通貨として実現しようという試みです。プライベートブロックチェーンなので、お金の価値は主体者が管理可能(コインにプログラミングできます)。ブロックチェーンの技術を用いたのは、安いセキュリティコストで信頼性の高いポイントシステムを運用できるから。
先日、「福島moe祭2016」で「萌化」という仮想通貨の実証実験を実施したそうです。

フルフルで同期し、ポイントを交換するデモ

 


■作品名:Seseki/チーム名:colspan
CSV形式の統計データから容易にヒートマップやランキングを作成するデータ閲覧アプリ
http://hacklog.jp/works/48982

市町村の統計データは、文字や数字の羅列のまま。それらを可視化すれば一目瞭然ですが、地理情報ソフトウェアはお金がかかるという問題が…。その、ちょうどいい道具がSesekiです。 エクセルシートでCSVを作るもしくは入力するだけで可視化出来できます。現時点で47都道府県に対応!
気になるオープンデータを集めて、表計算ソフトでマッシュアップします。

サクサク軽快にビジュアライズしていくデモ

 


■作品名:Walky/チーム名:東工大メディア研究会
実際のニーズに即した機能を持つ、スマート白杖(Walky)を開発しました
http://hacklog.jp/works/49115

私達は普通に散歩するが、視覚障害者の方からすると、たとえばトラックが怖い、といった課題があります。他にも路上駐車や自転車などは、恐怖の原因になっています。 視覚障害者の「どこに何があるかを知りたい。」を解決するのがWalky(ウォーキー)です。
白杖は足元しかわかりませんが、Walkyは高さのある障害物をカメラで認識し、利用者にしか聞こえないというスピーカーで知らせます。

カメラと距離を取る超音波センサーで障害物を認識し、耳をふさぐことなく自分にだけ聞こえる指向性スピーカーで伝えます。また、SORACOM Air、加速度センサー(手ブレの補正)も搭載しています。

指向性スピーカーのデモはこちら

 

 


■作品名:キロク乃キオク/チーム名:ハウモリ
時層写真やLocalwikiにキロクされた情報を、地図上に落とし込みキオクするアプリ
http://hacklog.jp/works/48636

歴史は、昔話、伝説、世間話によって情報を後世に残してきました。キーワードはオープンと共有だと思っています。昔の写真をオープンにアーカイブすることで、キオクをキロクしていくことが大切だと考え、町の人が持っている写真をOSM上に表現するWebサービスを作りました。そして現在ScrollNYCを実装中です。

 

CIVICTECH部門の発表作品は以上です!

 

プレゼンテーション後は、Touch and Tryでみんなの作品を触ったり質問したり。

 

そして懇親会へ!ビールとピザを片手に審査結果を待ちました!

 

 

■審査発表

そしてとうとう審査発表です。最初に上位3作品を発表し、最後に最優秀賞一つを発表するというスタイル。
最優秀賞は、「ディスレクシアの人のための字幕読み上げ機能付きYouTubeプレイヤー」でした。
おめでとうございます!

最後に審査員のみなさまから、全ての作品に関しての講評をいただきました。

全体としてコメントしていた河口さんの講評のみご紹介します。
「CIVICTECH部門なので、MashupAwardsとはちょっと違うものになっていると思います。CIVICTECHの切り口だとこういう順番になりました。草の根で、いろんな人の力をあわせて良くなるというのが大事だと思うので、是非今後も頑張ってほしい。」

こちらのブログでは紹介しきれない作品の説明や、写真がTwitterやflickrにありますので、こちらもぜひご覧ください。当日のイベントの雰囲気や盛り上がりがよりわかります。

・つぶやきまとめ http://togetter.com/li/1052853
・イベント写真 https://www.flickr.com/photos/100125183@N08/albums/72157677076257075

皆さん、本当にお疲れ様でした!見学者のみなさまもありがとうございました!

 

蛇足

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MashupAwardsのCIVICTECH部門の作品は、地域の課題を解決するもの、生活弱者の方の困ったをテクノロジーで解決する作品、オープンデータを利用した作品など、とても多様性あふれるラインナップとなりました。昨年はオープンデータ系の作品が多かったんですよねー。
今年発表された作品は、自分のできることで身近な課題解決に挑む作品が多く集まっていて、個人的にはとてもCIVICTECHらしい作品が発表されたように思います。
その中でも、質疑応答のやりとりにCIVICTECHらしさをとても感じました。

例えば、「他での展開のアイデアはあるの?」という審査員の質問に対するゆきまるさんの回答は
「ディスレクシアの方々がすごく困っています。他での展開については今後考えてみます。」
というものでした。
一つのシステムで様々な問題を解決できるという「活用展開」はもちろん大事です。でも一番大事なことは、「目の前で困っている人を助けたい」という思いだと思います。そんな想いがこもった解答に思えました。

また、のとノットアローンで「徳島県でも同じようなアプリを作っているが、存在をみんな知らない。利用者は伸びていますか?」という質問の答えは、「毎月270ほどのアクセスがあり、使われています。」という、あっさりしたものでした。
Codefor系のイベントなどでは、「作ったものの利用者がいない…」といった悩みなどを聞く事が多いですが、そんな焦りは全く感じませんでした。それは、この作品のスタートが、ニーズから作られた作品だからなのかなっと。

そして、個人的に印象に残った言葉があります。それは、「PRISM」の和田くんのこの言葉です。
「壮大な取り組みもいいけど、個人でできるCivicTechも大切」

きっと和田くんにとって、CIVICTECHといわれる活動は壮大な取り組み(たぶんそれはGovTECHといわれる分野)のイメージが強いんだろうなー。

CIVICTECHはMashupAwardsの中では異色な部門だと思っていましたが、この言葉をきいてMashupAwardsとCIVICTECHって近いなーなんて思いました。
MashupAwardsは自分のほしいものを自分で作る。自分の好きなことをする。
個人でできるCIVICTECHも、きっと同じだと思いました。

MashupAwardsでCIVICTECH部門賞があることはCIVICTECHにおいてとても意味があることだと思っています。MashupAwardsに参加するような若きエンジニアと、CIVICTECH活動者との接点となり、CIVICTECH分野の裾野を広げる一つのきっかけとなれば嬉しいです。

 

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